ギターでもロングトーン? 前編

 

 

こんにちは!ギター講師の岸本です。

 

津山先生の記事はお読みになりましたか?

特に後編の外的要因、内的要因の項は全楽器奏者にとっても重要なことですね!

 

サックスそのものの音色を決める要因は他にも色々と(リードや身体の使い方など)あるようですが、ギターはどうでしょうか?

 

というわけで、今回はギターの音色を決める要因、および音色を良くするための基礎練習についてお話してみようと思います。

 

その前に、ちょっとお勉強タイムです。

 

 

古来から弦楽器は世界中で愛用され、各地の音楽文化の発展に寄与してきました。

弦楽器は大きく分けて、弦をはじいて音を出す「撥弦楽器」と弓などで弦を擦って音を出す「擦弦楽器」の2つに分類できます。

そして、ギターは分類上は撥弦楽器にカテゴライズされます。

 

ギターは持ち運びのしやすさ等から、姿かたちを変えながら各地の文化と深く結び付き、各音楽ジャンルにおける特有の奏法を確立してきました。

 

ギターほど各音楽ジャンルごとに奏法が違う楽器はないかもしれません。

(フラメンコ、ブルース、ロック、クラシック、ジャズ、サンバなど、、、)

しかしいくらジャンルごとに違うと言っても、大本となる奏法は他の弦楽器と変わりはありません。

 

そして、弦楽器の奏法は大きく分けて3つあります。

 

 

<アルコ奏法>

 

弓を使って弦を垂直に擦ることで振動を与え、音を出す奏法で、ボウイングとも言います。

この奏法で奏でられる弦楽器を擦弦楽器といいます。

 

ボウイングは弦楽器の発祥と共に進化を続けてきた奏法で、弓のほかに道具を使わない、というシンプルさゆえに本当に難しく奥の深い技術です。

特にクラシック(西洋古典音楽)の世界は本当はどれほど深いのか、想像すらできません。。。

 

ここでは、僕の大好きなRenaud Garcia-Fonsというフランス出身のヴァーチュオーゾの演奏を紹介します。

このレベルまでアルコ奏法を極めることは人生の半分以上を捧げる覚悟が必要だと思います。笑

 

 

 

しかし撥弦楽器であるギターでは、あまりこの奏法は使われません。

特殊奏法として用いられることはありますが、基本的な奏法としてこれを習得することはまずないと言ってよいでしょう。

 

大きな理由として挙げられるのは、楽器の構造です。

ギターは弦の並びが擦弦楽器と比べ直線に近いため、狙った弦に弓が当てにくいのです。

この問題を解決するために、E-bowやGizmotronなどの特殊なガジェットを使うことがあります。(僕も愛用しています)

 

 

しかし、駆動に電源が必要なこと、身体を使った技術として修練を積めないことなどから、これが一般的な技術として浸透するのは現時点では難しいでしょう。。。

 

 

 

<ピチカート奏法>

 

指で弦をはじき、振動を生みだす奏法です。

俗に言う「指弾き」です。

ヴァイオリン属の擦弦楽器を指ではじいて弾くことがありますが、そのときにこのピチカート奏法を特殊奏法として用います。

ギターなどの撥弦楽器ではむしろこちらがメインの奏法となります。

 

この奏法は自分の手以外は道具を用いないのですが、かなりジャンルごとに差異があり、また奥の深い(2回目)技術です。

沢山ありますが、ここでは代表的な例を3つほど紹介したいと思います。

 

~クラシック~

 

Andres Segoviaは近代クラシックギターにおける代表的な音楽家です。

柔らかでなめらかな右手の運用法を確立した、偉大なギタリストです。

 

クラシックギターにおける基本的な奏法は、力強く豊かな音を出せるが、基本的には単音に用いられる「アポヤンド」と、軽いけれども繊細な音を出すことができ、アルペジオなどに用いられる「アル・アイレ」の2種類ですが、その2種類の中にとてつもない情報量が含まれています。

 

使われる指は主に小指以外の4本で、親指から順番に p i m a と記号で表記されます。

また、各指ごとに爪の形を整えなければならず、指弾きを主にするギタリストは自分の爪の形に並々ならぬこだわりを持ちます。

 

ありとあらゆる曲や音質に対応するために奏法は単純化されていますが、姿勢をはじめとする基本が非常に大切になります。

 

~フラメンコ~

 

Paco de Luciaは現代フラメンコを代表する偉大なギタリストで、華麗なテクニックのみでなく、それまで閉鎖的だったフラメンコと現代音楽との融合を図った先進的な音楽家です。

 

フラメンコギターにおいて基本となるのは人差し指と中指で交互に弦を弾くピカード(Picado)と、親指で弦を弾くプルガール(Pulgar)と呼ばれる奏法です。

これらはクラシックにおけるアポヤンドとは違い、硬質で鋭い音を速く連続して出し続けることに特化した奏法です。

 

Segoviaの動画とぜひ比較してみてほしいのですが、アポヤンドが指を円の軌道に乗せ「振り子」のように動かしているのに対し、ピカードの指の使い方は肩から直線的に指を「引く」ようにして弦を弾いています。

一見似ている奏法ですが、実は身体の使い方が全く違います。

 

また、親指以外の指を箒を払うように使い、一気に和音をかきならすラスゲアード(Rasgueado)奏法なども有名です。

 

~ジャズ(特殊)~

 

 

Wes Montgomeryは、それまでのジャズギターにおける一般的な奏法とは一線を画す「親指ピッキング」と呼ばれる奏法で一世を風靡した偉大なギタリストです。

また、オクターブの音を同時に弾いてあたかも管楽器のような太い音圧を出す「オクターブ奏法」を世に知らしめた人でもあります。

 

それまでジャズギターではピックを使った奏法が主でしたが、Wesは力強く太い音から柔らかく繊細な音まで、親指一本で表現しています。

なお且つどんなに速いパッセージも親指のみで弾き切ってしまうのは、まさに驚嘆すべき技術です。

これには黒人特有の指関節の柔らかさも影響していると思いますが、Wesの登場以降沢山のジャズギタリストが彼の奏法を研究、模倣し、発展させてきました。

 

奏法に限らず、あらゆる技術や理論は沢山の人が長い時間を研究と探究に捧げ、更に受け継がせていくことで発展していくものです。

が、まれにWesのような天才が現れ、一足飛びに新しい技術や理論を打ち立ててしまうことは長い歴史で見ればよくあることです。

大事なのは、その歴史を知った上で、自分の出したい音が何なのかよく考えることです。

自分の出したい音がその歴史の中に無かったとしても、そこから学べることは沢山あります。

 

ちょっと話が逸れました。

Wesの親指ピッキングは、別の言い方をすれば親指をピックと見立てて使っていることになります。

その意味では、後述のピック奏法の発展形だと言えるのかもしれません。

事実Wesはピッキングも達者だったようですし、親指ピッキングに至るまでの過程は諸説ありますが、本人が言うように単にピックでは得られない親指特有の響きが欲しかっただけなのかもしれませんね。

 

 

さて、今回の記事はここまでです。

次回は「ギターといえばコレ!」なピックを用いた奏法について触れてみたいと思います。

 

 

 

ギター講師 岸本賢治

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